墓標が死んだ
墓標が死んだ。
意味不明だと思うが、そのまんまの意味だ。
自分が死んだら墓代わりに植えてもらうつもりでいた桜が死んだ。
桜の木の下に眠る骸というものになってみたかったのだ。
だって永遠の厨二病だもの。
エレガンスみゆきという桜と梅の合いの子で、小柄で秋から春まで長く咲く品種だ。
鉢植えOK!うっかり親に切られる事もない!!!
自分の本名と同じ名で運命を感じたのだが、まさか、別れが早すぎた。
まさか自分を置いて先に逝くなんて。
去年数輪だけ咲いて、今年は秋から春まで咲いていた。
満開になることはなかったけれど、真冬でも常に数輪はポツポツ咲いていて、ああやっと安定して枝が充実してきたんだなと思っていた。
桜が咲く季節には一足早く葉桜に。
一斉に芽吹いて、ああ満開にはならなかったな
ーとちょっと淋しく思っていた。
枯れた。
淋しいで済まなくなった。
いきなり枯れた。
あっという間だった。
先週元気だったやん?!だった。
唖然というか、本当に二度見した。
出掛けに車で通り過ぎて、思わずバックした。
我ながら、見事な二度見だった。
原因に心当たりがない。
桜切る馬鹿と言うが、切ってない。
忙しくて投げやりな生活してたから、肥料もやり損なってあげてないから肥料焼けもない。
ってか、触(れ)てない。
虫もカマキリの卵くらいしか居ない。
あれか、根元にワッサワッサ白彼岸花植えてるからか。
一年目から植わってるわ。
一年目から何故か枝先が鉄砲虫にやられて、コント体質な自分に似て不憫な子ッ!とは思って居たが、死んだ。
いやいや、敗者復活戦あるだろと思っていたが、死んだ。
現実見て見たが、やっぱり死んでた。
白彼岸花の葉も枯れてた。
君はそろそろ植え替えの時期デスネ。
張りと艶があった木肌がツブツブだ。
胴枯れ病の症状と酷似。
確定だろう。
つまり死んだ。
私の墓標は死んだ。